いよいよ寒くなり冬らしい季節が到来しました。
雑誌や街頭広告、歩いていると目に入る広告の必須ワードは【乾燥】や【保湿】を連想させる言葉が多くなりました。
今回のPROFESSIONALシリーズでは美容オイルの第1人者【日本オイル美容協会 理事のYukieさん勉強会で学んだことをまとめました。】
どうして美容オイルが肌に必要なの?
オイル美容液の役割・働きとは?ということをコラムにしました。
少し専門的な言葉も出てきます。それ以上に興味深い内容です。
なんとなく使っていた方も、これからオイル美容液を始めてみようと思っているた方にも役に立つものになります。
一歩先のオイルを勉強してご自身のスキンケアに取り入れてみましょう。
美容オイルとは?
日本では寒い時期に注目される美容オイル。
近年は美容オイルを積極的に取ろうと考えている人が増えています。
美容オイルは普段のスキンケアを格上げしてくれるお助けアイテムです。
単体で使用することより、今のスキンケアの中にプラスすることが多く
美容オイルで肌の働きを活発にして、肌の基礎力を高めます。
美容オイルのポイント・役割とは
美容オイルは主に天然素材から抽出されたオイルをそのままもしくは、各ブランドが肌の悩みに合わせて特別な配合比でブレンドしたものになります。
抽出物の栄養素を肌に直接届けることになりますため。2つのポイントがあります。
1,抽出物の鮮度が大事。
植物の種や果実などから抽出するため、抽出物の鮮度は重要です。
ボタニカルオイルを販売するブランドなどでは生産地をこだわったり、特定の生産地を自社で管理したりしています。鮮度や収穫時期は自然のものなので毎年同じということはありません。
そのため目の届く場所での生産をしている事が多いです。
2,抽出方法が大事。
抽出方法は主に3つあります。
溶剤抽出法
溶剤を使うことで隅々までオイル成分を抽出できるので、大量生産に向いているというメリットがあります。
圧搾法
低温圧搾法(コールドプレス)で作られたもの。熱をなるべくくわえず圧力をかけて搾り取る、原始的な方法でオイルを抽出します。
超臨界抽出方法
二酸化炭素などの気体に強い圧力をかけて圧縮すると、液体と気体の間である「超臨界状態」という状態に変化します。その状態の時に抽出植物を入れると、植物に含まれる栄養素のみ二酸化炭素に吸着されます。それから、圧力を元に戻すと、二酸化炭素が気化して飛んでいき、そこには植物の栄養成分だけが残ります。
美容オイルの役割
よく化粧品の広告で染み込む、浸透する、奥深くまで届くというような表現を見ます。
美容オイルも浸透性は高いことも必要ですが、さらに重要なことは、皮膚に働かせることに意味があり、体の内部まで浸透させることが目的ではないということです。
トラブルや問題は皮膚の上で起きているので、皮膚で働かなければ意味がありません。
たまに聞くのがサプリメントで栄養素を飲んでいるから平気という方がいらっしゃいますが、非常にもったいないです。体には相互関係があるので中からケアすることは大事です。
体の中と外からケアする相乗効果が大切です。
皮膚の最も表層にある皮脂、皮脂膜とは?
皮膚の断面図を用意しました。
皮脂は皮膚の最も外側にあるバリア機能を持った組織です。
主な組成は汗と皮脂でできています。
皮脂膜は人が持っている油溶性の皮脂と、水溶性の汗が混ざりなったものになります。
つまり油溶性成分と水溶性成分が混ざりあった天然の肌に最も適したスキンケア商品【クリーム】です。
(皮膚に合うようにパーソナライズドされたスキンケアクリーム)
この皮脂膜のバリアによって様々な外的刺激から守ることになる役割を持ちます。
一次バリア層とも言われています。
花王がRNAを発見し、皮脂膜を見ると、肌の状態がわかるようになりました。
皮脂膜は近年さらに研究が進んでいます。
花王が2015年前後、この皮脂からRNA(アールエヌエー)を抽出、確認がされました。
RNAは簡単に言えば肌の上での実行部隊です。DNAが指示を出し、RNAがたんぱく質をつくり体の様々な組織が構成されているのです。
そのためRNAがわかると体や肌のさまざまな状態を把握できる可能性があることを見いだしました。
これにより自宅にいながらにして、あぶらとり紙で皮脂を採って郵送するだけで、健康状態の把握を可能にする検査サービスが実現可能になりました。
これからは皮脂から全てがわかる時代ですね。
皮脂成分の組成とバランス
皮脂は毛穴にくっついている皮脂腺という器官から出ます。
基底細胞というものが分化=成熟することで皮脂になります。
皮脂も細胞なんですね。
皮脂腺は体の場所によって数が異なります。
例、顔面=1c平方あたりに900コ前後・前腕=1c平方あたりに50コ前後
脂=バリアになるので、脂が多い場所はそれだけ外部刺激から守る必要がある場所です。
脂=悪いものという考えが少しづつ変わってきたでしょうか?
皮脂がいっぱい出ちゃうのは嫌、キレイにしなくちゃと皮脂を悪者にするのはやめましょう。
皮脂とはそもそもどんな構成をしているのか?
皮脂の脂質構成の大部分を占める中性脂肪
40%トリグリセリン→3つの脂肪酸とグリセリンで構成されています。
17%遊離脂肪酸は皮膚の常在菌の酵素の働きで中性脂肪を分解します。 分解された脂肪は脂肪酸という物質に変わり、血液に乗って体のエネルギーとして使用されます
皮脂の脂質構成の約26%がワックスエステル
26%ワックスエステルは液状化した脂質になります。もし脂質が温度の低いところで固まってしまったら
冬には私達の毛穴は脂が固まってしまい、ガチガチになります。このワックスエステルのお陰で皮膚の上でも固まらない効果を持ちます。
皮脂の脂質構成の約12%のスクワレン
12%スクワレンは体内で酸素を補給する働きを持ち、「酸素の運び屋」とも呼ばれています。
新陳代謝を活性化する効果や、血液を浄化する効果がありますが非常に酸化しやすい物質。
また肌の外にある脂質に含まれているスクワレン。
つまり外界との境目にあるためもともとの「酸素の運び屋」のような体内での働きはありません。
しかしこのスクワレンがあることが重要です。外部刺激による影響で私達の体内では常に酸化が進んでいますが、スクワレン自体が酸化することで外部刺激から肌を守る事になってします。
結果、酸化を抑えることにつながっています。
このように皮脂はしっかりバリア機能として私達の肌を守る働きがあることがわかります。
むやみに皮脂を取ることだけのスキンケアは肌のバリア機能を自らなくすことになります。
皮脂を落とすだけがスキンケアではありません。
皮脂を育てることが必要です。
皮脂成分の働き
皮脂には様々な働きがあります。肌の上でどのような働きをしているのか紹介します。
保護作用
皮脂全般はバリア機能の保護作用があります。
皮膚はそもそも排出器官なので、肌からはなかなか取り込むことはしません。
バリアとあるように外部からの保護が目的です。
柔軟作用
ワックスエステル・グリセリン(トリグリセリドの分解物質)・一部の脂肪酸(トリグリセリドの分解物質)
エモリント効果という言葉を聞いたことはありますか? エモリエント効果とは、肌の水分の蒸発を防いでうるおいを保ち、肌を柔らかくする皮膚作用 のこと。 脂質にも肌の柔軟効果があります。
アルカリ中和作用
遊離脂肪酸・汗が作用します。 肌で増殖する黄色ブドウ球菌は病原性が高いため皮膚がアルカリ性に傾くと増殖して*2皮膚炎などを引き起こします。そこで中和作用が働き、弱酸性に戻す作用があります。
静菌作用
黄色ブドウ球菌のような悪い菌を増やさない働きがあります。
抗酸化作用
皮脂を分泌する脂腺が発達した部位を脂漏部位と言います。脂漏部位からはビタミンE/カロテノイドが多く分泌され抗酸化の作用があります。またワックスエステル・スクワレンも抗酸化のために作用しています。
乳化作用
皮脂全体で作用します。
皮脂成分のまとめ
皮脂膜を育てることは肌にとって大切です。日本人は保湿を大切にと考えると化粧水で水分を導入することを連想しますが
より大切なことは皮脂膜を成長させるためのオイルです。
女性は30代から肌の皮脂が減るため、植物オイルで足りないオイルを補充することで
肌の保湿、肌を整えターンオーバーを促すことになります。
植物オイルを肌に補充していきましょう。